平成14年度 問2 地域再開発計画における情報システムの構想立案
X自治体が、行政区域内にブロードバンド通信環境の先進地域となるよう再開発を行い、集合住宅棟、事務棟及び商業施設で構成する街づくりを計画するケースである。
問題文の構成1章〔地域再開発計画〕
2章〔街づくり協議会と情報システム分科会〕
3章〔ITサービスのニーズ調査〕
4章〔全体システム構想の立案〕
設問の主旨設問1
地域の共通システムとして整備できるものを三つ述べよ。
設問2
ICカードを選択するための利用面から見た要件として重要なものを三つ述べよ。
設問3
街づくり協議会参加者の合意形成を図る上で重要になる事項を述べよ。
解答例 :
システムアナリスト過去問題&分析〈2005年版〉から引用
設問1
(1)再開発の開発状況の情報発信、掲示板を含む意見交換のためのホームページの開設。
(2)複数ある駐車場の駐車可否の表示、電光表示板で駐車場に誘導する制御システム。
(3)空調、照明等の制御、および窓や出入口に取付ける侵入検知器の共同監視システム。
設問2
(1)交通機関、金融機関等との共同利用が可能
(2)ポイントサービス、デビットサービスが可能
(3)導入費用と利用料金などの運営費が安いこと
設問3
(1)オープンな意見交換と意思決定ルールの確立、及び費用負担の基本方針を早急に確立する。
Pman 解説 非常にスケールの大きな情報システム構想であり、こういう経験をしている人は少なくとも受験者の中には存在しない気がする。しかし、知識や経験がなくとも、問題文をよく読めば何とか答えられそうだ。
設問1は、3章の中から、地域情報通信基盤と共通ICカード以外の共通的なニーズを見つけ出せばいい。「ホームページ」「駐車場」「監視システム」の3つであることは分かりやすいが、これらを解答にする際は、問題文に書かれた具体的なニーズの核心をうまく表現する必要があろう。例えば、(1)は「情報発信」「意見交換」、(2)は「電光表示版」「誘導」、(3)は「制御」「侵入検知器」などのキーワードを盛り込んでいけばいい。
設問2は、4章の後半((2)地域共通ICカードシステム)から要件を分析し、抽出する。それぞれ20字以内にまとめるにはテクニックがいる。問題文の「鉄道事業者及びバス事業者」のままでは長いので「交通機関」に置き換えるなど、工夫が必要になる。
設問3は、難しい。当該対策本の解説でもそう書いている。問題文の中に、決め手となる記述が見当たらないからだ。強いてあげるとすれば、4章の中に、集合住宅棟事業者や駅前商店街では費用負担を抑えたいとの声が上がっており、この点について調整を図ることが急務であると言えそうだ。「意思決定」「基本方針」などは、アナリストらしいトップダウン的な観点だと思われる。
コメント この問題で感じたのは、限られた字数で解答を作る難しさである。ただキーワードを並べればいいというわけでない。的確な表現を用いて最適解を導かなければならない。2問やってみたところで、これは相当の訓練がいると感じた。試験問題だけでなく、普段から新聞や雑誌などの記事を読み込み、要点をおさえる練習をしておくと効果がありそうだ。
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