今回も論説文を1つあげておく。
この本はタイトルどおり、ひらめいて買った。書店でパラパラやって何となく、という感じだった。最近「脳」という言葉をよく目にするようになった。あの「脳内革命」に始まったブームなのかわからないが、脳が人間をコントロールするものである以上、これはもはや人類にとって永遠のテーマと言っていいだろう。本書では、前頭葉、海馬、シナプスなど聞いたことのある用語がいろいろ出てくる。しかし、こうした脳にまつわる専門用語の解説本ではなく、ひらめきという現象が発生するしくみについて具体例をあげて紐解くような内容になっている。著者は、単なる記憶力だけではなく「ひらめき」が非常に重要なものであることを切々と説いている。
読んでいるうちに、ひらめきが日々の仕事や資格試験などでも大切、いや必要不可欠なのだと思えるようになった。たとえば、情報処理試験を例にあげると、選択式の試験では、いくらIT用語の意味を記憶していても、その記憶力を試験中に発揮できなければならない。記述式では、問われている内容に合致した言葉や表現のひらめきが必要になるし、論文では、準備していなかったテーマが出題されても、ひらめきによって記憶の海から1つ1つの言葉をすくい上げ、文章を組み立てていかなければならない。
私は普段、こういう本をあまり読まないほうだ。すぐに目がふさがってしまうから。でも、本書ははっきりとした脳で、最後まで読むことができた。